[メイン2] ベジータ : 「さて、ブルマに頼まれたものは大体買えたな。くそったれ……このベジータ様に一人でお使いさせるとは、困った女だ」
[メイン2] ベジータ : 「お使いは済ませたが……財布には余裕があるし小腹も空いたな。何か食っていくか」
[メイン2] ベジータ : 〜定食屋〜
[メイン2] ベジータ : 「おい、ステーキ定食をくれ」
[メイン2] : 店員「……焼き方は?」
[メイン2] ベジータ : 「弱火でじっくりでいい」
[メイン2] : 店員「奥の部屋でどうぞ」
[メイン2] ベジータ : 「フン……早く食って帰ってやらなきゃな」
[メイン2] ベジータ : 「!?」
[メイン2] ベジータ : 「なんだこれは!?エレベーターか!?おい何をしてる!!出しやがれ!!」
[メイン2] ベジータ : 「ふおおっ!?」
[メイン2]
ベジータ :
「くそったれぇ……なんだここは……」
「どうやらオレは罠に嵌められたらしいな……」
[メイン2] ベジータ : 「フン……あらかた誘拐した人間を奴隷にして売り飛ばすと言ったところか。くだらん……このベジータ様を縛れるものか。犯人はぶっ殺してやる」
[メイン2] ベジータ : 「……何?ハンター試験?なんだそれは」
[メイン2] ベジータ : 「よくわからんが……奴隷の選抜と言ったところか?」
[メイン2] ベジータ : 「くく……面白そうじゃないか。奴隷になってやる気はさらさらないが少しそのハンター試験とやら覗かせてもらおう」
[メイン2] : 〜ベジータ様のハンター試験ダイジェスト〜
[メイン2] : 〜第一試験〜
[メイン2] ヒソカ : 「試験官ごっこ♠️」
[メイン2] ベジータ : 「貴様がヒソカか」
[メイン2]
ベジータ :
[メイン2] ベジータ : 「ビック・バン・アタック!」
[メイン2] ヒソカ : 「おわァアア〜〜〜〜っ!!!」
[メイン2] : 〜二次試験〜
[メイン2] ベジータ : 「料理だと!?」
[メイン2] ベジータ : 「フフフフ……ハーッハッハッハ!!ブルマの手伝いをいつもしているオレに死角はないぜ!!」
[メイン2] ベジータ : 「ベジータ様のお料理教室だ!!たっぷりと料理してやるぜーっ!!」
[メイン2]
ベジータ :
[メイン2] ベジータ : 「え…?こいつら寿司も知らないの…?」
[メイン2]
ベジータ :
[メイン2] ベジータ : なんやかんやでベジータ様はハンター試験を最終試験まで突破した!
[メイン2] ベジータ : よかったね!
[メイン2]
ベジータ :
「飛行船か……いよいよ売られにいくということか」
「いいだろう、首謀者の顔を見て、そいつを吹き飛ばしてから帰るとするぜ」
[メイン2]
ベジータ :
[メイン2]
ベジータ :
[メイン2]
ベジータ :
[メイン2] 白虎 :
[メイン2] 白虎 :
[メイン2] 白虎 :
[メイン2] 白虎 : そうして始まった、"ハンター試験"。
[メイン2] 白虎 : プレートを揃えればいい、試験合格条件は、たったそれだけ。
[メイン2]
白虎 :
各自が保有するプレートは1枚ずつ。
例外はあれど、3枚揃えることで、条件は整う。
[メイン2] 白虎 : そして、このハンター試験は─────法が存在しない。
[メイン2] 白虎 : プレートを奪うためには、何をしてもいい。
[メイン2]
白虎 :
仲間になったフリをしてプレートを奪っても。
罠を仕込んでプレートを奪ってもいい。
[メイン2] 白虎 : ……尤も、白虎の頭では、そういった創意工夫はこれっぽっちも思い浮かばない。
[メイン2] 白虎 : ここまでの試験もそうだ、全て腕っぷし一つで駆け上がってきた。
[メイン2] 白虎 : 白虎は、小柄ながらも─────怪力を秘め、高い戦闘能力を有している。
[メイン2] 白虎 : 住民全員が戦闘員で構成された「桃源」と呼ばれる村の出身で、ハンターライセンスを求めるのも、戦闘員として認められるためである。
[メイン2] 白虎 : 幼いながらも、殺しの術に長け、そして裏の道を歩まんと、威風堂々と孤島の中を歩く少女。
[メイン2] 白虎 : 自信満々に、辺りに気配を配りながら─────。
[メイン2] 白虎 : 「………………」
[メイン2] 白虎 : ふと、その場で足を止める。
[メイン2]
白虎 :
「─────おりゃあッ!!」
即座に、投石。
[メイン2] 白虎 : ある程度の質量を有したソレは、ビュウンッ、という風を切る音と共に
[メイン2] 白虎 : ─────ある、察知した気配のもとへ。
[メイン2]
:
投石されたのは茂みの中。
その中できらりと何かが光ったかと思うと。
[メイン2] : ダンッ!
[メイン2]
:
一発の銃声。
同時に石が砕けて散る。
[メイン2] 白虎 : ……ははぁん……!思いっきりこめかみを砕くつもりで投げたが……!
[メイン2]
白虎 :
反応が速い!
……フッフッフ、燃えてきた……!
[メイン2] 白虎 : ニヤリと笑い、その銃声の主の方へ向き、仁王立ち。
[メイン2] バロン : 「……野生の勘も侮れんな」
[メイン2] 白虎 : 「はっはっは!!そっちこそ、今のはいい反応だったぞ~?」
[メイン2] バロン : ざわりと草葉をかき分けて現れたのは黒い上着を羽織った男。
[メイン2] バロン : 片手に硝煙を上げるライフルを構えて向き直る。
[メイン2] 白虎 : その男に対し、小柄な少女は即座にトンファーを取り出し、ぴょんぴょんとその場で跳ねながら、臨戦態勢を取る。
[メイン2]
バロン :
「お褒めに預かり光栄だ」
”それ”が得物か。
[メイン2] 白虎 : 「さっきぶりだな?キザ男!」
[メイン2] 白虎 : そう言うや否や─────。
[メイン2] バロン : 「どうも、野生児」
[メイン2] 白虎 : 地を蹴り出す。硬い地面が、その衝撃によりめくれ、弾け飛ぶ。
[メイン2] 白虎 : 砂塵がぶわりと舞い。バロンとの距離が、瞬きの間に詰められていく。
[メイン2] バロン : 「っと」
[メイン2] 白虎 : 「本番で覚えて色といったな?有言実行!!その"たま"貰ったァアッッ!!!」
[メイン2] 白虎 : そうして飛び跳ね─────。
[メイン2] バロン : 数発の銃弾を放ち、牽制しつつバックステップ。
[メイン2] 白虎 : 腕に血管が浮き出るほど、トンファーを固く握りしめ。
[メイン2]
バロン :
”飛行船から落ちても死なない”だったか。
どこまでが本当かは知れたものじゃあないが……
間違いなく近寄らせれば相手の間合い。
[メイン2] バロン : 今は距離を置くのに専念するべきだ。
[メイン2]
白虎 :
「─────ッッ!!おりゃおりゃアッ!!」
数発の弾丸を素早く一閃、一閃させていくことで軌道をズラしていく。
[メイン2] 白虎 : ビュンッ。ただその弾の一つが、白虎の頬を掠る。
[メイン2] 白虎 : ─────何ィッ……!?
[メイン2] 白虎 : いつもは無傷だぞ……!!!おのれキザ男ォォオオ~~~~ッ!!!
[メイン2] 白虎 : 怒りを込め、渾身の一撃を上空より、バロンの元へ叩きつけんとする。
[メイン2] バロン : 「チッ、銃弾を見切るかよ……!」
[メイン2] バロン : バカげた動体視力。ただの小娘だと侮ったか──!
[メイン2] バロン : トンファーの一撃がバロンの体を捉え……
[メイン2]
バロン :
[メイン2] バロン : しかし、その体をすり抜ける。
[メイン2]
バロン :
[メイン2] 白虎 : 「──────────なっ……!?!?」
[メイン2] 白虎 : 当たると確信した。この男の頭を砕く自信があった。
[メイン2] 白虎 : だが、それは実らず─────。
[メイン2] 白虎 : ガァアアアアアアアアアアンッッッ!!!!
[メイン2] 白虎 : 地面に巨大なクレーターを作るのみだった。
[メイン2] バロン : 「まさか一戦目から切るとはこいつを切るとは思わなかった」
[メイン2] 白虎 : 「ど、どういうことだ……!?透けた……!?!?」
[メイン2] バロン : すたん、といつの間にか男の姿は衝撃の範囲外まで飛んでいる。
[メイン2] 白虎 : 咄嗟に辺りを見渡し、バロンの姿を視界に捕捉する。
[メイン2] 白虎 : 「なっ……!?……これが、お前の能力か……!!!」
[メイン2]
白虎 :
冷や汗が頬を伝う。
そう、これがハンター同士の戦い。
[メイン2] バロン : 「ま、そういうことだ」
[メイン2] 白虎 : 『手札』は、隠すもの。
[メイン2] 白虎 : 明かされない『手札』は、相手に不気味さを与える。
[メイン2] バロン : 「ちょっとした”礼”に教えておいてやろう」
[メイン2] 白虎 : 「礼……だと……?」
[メイン2]
バロン :
そう言いながら、発砲。
何の変哲も無い弾丸が1発、白虎に向かって飛ぶ。
[メイン2] 白虎 : 「!! そんな弾丸!!白虎様の手にかかればッ!!!」
[メイン2] 白虎 : 音速に対応し、トンファーで薙ぎ払い、軌道をズラさんとする。
[メイン2] バロン : トンファーに当たる直前。
[メイン2] バロン : 銃弾が数ミリだけズレる。
[メイン2] 白虎 : ──────────えっ……?
[メイン2] 白虎 : そのズレは、白虎の驚異的な視力で、"観えた"。
[メイン2] 白虎 : ただ、観えただけだ。
[メイン2] 白虎 : もう、"手遅れ"。
[メイン2] 白虎 : なっ……!?!?こ、こんな小細工ッ……!!!くぉんのぉおおおおッッ!!!!
[メイン2] 白虎 : 何とか体を仰け反らせ、急所を外そうとするも─────。
[メイン2] 白虎 : 「──────────ぐあぁああああああああッッッ!!?!?!!」
[メイン2] 白虎 : その音速の鉛は、額の表面部分を、ごっそりと削り取る。
[メイン2] 白虎 : 血飛沫が、白虎の顔から飛び出る。
[メイン2] バロン : 「……俺の能力はジャミング」
[メイン2] 白虎 : その衝撃により、白虎の体も吹き飛ばされる。
[メイン2] バロン : 「物をほんのちょっとズラして見せる、ちゃちな手品だ」
[メイン2] バロン : だが、しかし……目の前にいるような確かな実力者を前にしては。
[メイン2] 白虎 : 宙で一回転し、そのまま白虎の体は地面に叩きつけられる。
[メイン2] 白虎 : 「ご、はッ……!!」
[メイン2] バロン : その数ミリのズレは確かな致命傷になる。
[メイン2] バロン : こんな風にな。
[メイン2] 白虎 : 今の一撃により、白虎が手にしていたプレートが、元いた場所に置き去りにされる。
[メイン2]
白虎 :
「はぁッ……!はぁッ……!!おん、の、れェエッ……!!!」
どくどくと、額から血が溢れ、地面を濡らしながらも。
戦闘民族としての生命力もあり、なんとか顔を上げ、バロンを睨みつける。
[メイン2] バロン : 「……まだやる気か?」
[メイン2] 白虎 : ぐぅううぅッッ……!!!視界が、真っ赤だ……!!何も、視えないッ……!!
[メイン2]
白虎 :
「やるッッ……!!!まだ終わってないッッ……!!!!」
体を引き摺りながら、なんとか、地面に放り投げられた白虎のプレートへ手を伸ばそうとする。
[メイン2]
バロン :
ズダンとプレートに向けて発砲。
プレートを宙に跳ねあがらせて、自分の手元まで飛ばし。
[メイン2] バロン : 「もらい、だ」
[メイン2] バロン : 確かに自分の手の中に収めた。
[メイン2]
白虎 :
「なッ………!?」
今の音……!!び、白虎様の、プレートが……!?
[メイン2] 白虎 : 「か、返せ!!お前ぇええーーーーーーーッッッ!!!!」
[メイン2]
バロン :
「…………」
体を引きずる白虎を見る。
こいつ……どうしてここまで?
[メイン2] バロン : 「プレートはいただいた、この場の勝負は俺の勝ちだ」
[メイン2] 白虎 : 「くゥ……っそぉ……ったれ………」
[メイン2] バロン : 「……それ以上続ける意味も無いだろう」
[メイン2]
白虎 :
額から流れる血が、白虎の体力を奪う。
脳に送られる酸素が不足していく。
[メイン2] 白虎 : そうして。
[メイン2] 白虎 : バタりと、倒れる。
[メイン2]
白虎 :
死亡はしていない。脳へのダメージは無い。
しかし、大量失血による損傷は大きい。
[メイン2] バロン : ……白虎の体が力を失ったのを見て、ようやく冷汗がたらりと垂れた。
[メイン2]
白虎 :
尤も、白虎も"ただの一般人"では無いため……。
傷がいつ塞がり、起き上がるかも分からない。
[メイン2] 白虎 : 何故なら。
[メイン2] 白虎 : トンファーを気絶してもなお、握り続けているからだ。
[メイン2] バロン : 地面を砕くほどの攻撃力。銃弾を見切る視力。瞬時に距離を詰める跳躍力。
[メイン2] バロン : ……何よりこの戦意と来た。
[メイン2] バロン : 今回勝てたのは……
[メイン2] バロン : 「……ラッキーショットだったな」
[メイン2] バロン : そう言いながら服の埃を払う内に。
[メイン2] バロン : つー……
[メイン2]
バロン :
頬から血が垂れているのに気づく。
恐らくは地面にクレーターを作ったあの一撃、その際に砕けた破片が掠めたのだろう。
[メイン2] バロン : 「……いつもは無傷なんだがな」
[メイン2] バロン : やれやれ、と息をついて。
[メイン2] バロン : …………ただ寝かせておくのも目覚めが悪い
[メイン2] バロン : 上着を少し破いて、申し訳程度の止血だけしておく。
[メイン2] バロン : 「……俺は無意味な殺し合いは御免なんでね」
[メイン2] バロン : そして、少しボロになった上着をはためかせ。
[メイン2] バロン : 目指す先は──
[メイン2]
バロン :
[メイン2]
バロン :
栄光
次の戦場だ
[メイン2]
バロン :
[メイン2] ホンフー :
[メイン2] ホンフー :
[メイン2]
ホンフー :
「全く、私も好き者ですね
わざわざ薪をくべるような真似をするとは……
正直、楽しみですがね、こんな所で摘み取るのももったいない」
[メイン2]
ホンフー :
笑みを浮かべつつ
だがしかし、その精神はピタリとやんだ風のそよぎのように
静かだった───。
[メイン2]
ホンフー :
「…………おや」
その時、明らかに異質なオーラの揺らぎが
ホンフーの肌を遠方から撫でる。
[メイン2]
ホンフー :
いや、これはオーラなのか?
もっと別の…………それほど強大なオーラ。
[メイン2]
ホンフー :
察知し、そして感知したホンフーは踵を返し。
咄嗟にその方向へと視線を向ける。
[メイン2]
ベジータ :
「全く、こんな島にいきなり放り出しやがって……」
「何をさせたいんだ全く」
[メイン2]
ホンフー :
───その出で立ちからして、見た事もない。
歴史……文化……経歴……何もかもが見えない。
わかる事は───彼も"参加者"だということだ。
[メイン2] ホンフー : しかし、私は恐れるどころか。
[メイン2] ホンフー : むしろ、踏み込みたくなった。
[メイン2] ホンフー :
[メイン2]
ホンフー :
「そこの貴方───争奪戦だというのに
随分と余裕をかましてらっしゃるようで、うふふふ」
[メイン2]
ホンフー :
忠告でも何でもない。
ただ、余裕をかましていられるほどの理由と、その秘めたる"オーラ"が
本物かどうかを確かめるため。
[メイン2] ベジータ : 「む?なんだ貴様。貴様もハンター試験とやらの参加者か。よく聞いていなかったんだがこの最終試験とやらのルールはどんなもんだ?」
[メイン2]
ホンフー :
「…………」
少し、きょとんとしながらも。
[メイン2]
ホンフー :
「このプレートを奪い合って、3枚……
指定された番号を獲得したなら2枚で……制限時間内に維持していれば
ハンターライセンスを貰える……そういう試験ですよ」
[メイン2] ベジータ : ベジータはあまりよく分からなかった。
[メイン2] ベジータ : 「……つまり、プレートとやらを他の奴らから奪えばいいわけか」
[メイン2]
ホンフー :
「ええ、そうです
たとえば───私から奪っても構いませんよ、そして」
[メイン2]
ホンフー :
"絶"
[メイン2] ホンフー : 異様な男の"プレート"へと、手を伸ばす。
[メイン2] ベジータ : 「!」
[メイン2] ベジータ : シュンッ
[メイン2] ベジータ : 瞬間的に移動しその背後に回り込む
[メイン2]
ホンフー :
「───!!!」
凝、否───硬。
[メイン2]
ホンフー :
回り込まれたと同時に振り返り
片腕にオーラを集中させる。
[メイン2] ベジータ : 「このベジータ様のプレートをいきなり奪おうとするとはいい度胸だぜ」
[メイン2] ベジータ : 振るった拳を……止める。
[メイン2]
ホンフー :
「あなたも、私の背後に回り込むとは……
凄まじい"念能力者"で…………」
これは……この男……強化系? いや、鍛えに鍛え上げたとしても
これほどの極地に"到達"できるものか?
[メイン2] ホンフー : 咄嗟に拳をこちらへと引き戻し。
[メイン2] ベジータ : 「ネン?なんだそれは」
[メイン2]
ホンフー :
「…………そういうタイプですか
たまにいます……だからこそ恐ろしいものです
野性本能につき従いながら……自然に念を使いこなせる、強者が……」
[メイン2]
ホンフー :
「おっと……申し遅れましたね?
私、巫紅虎(ウ・ホンフー)と申します」
[メイン2]
ホンフー :
少し、間をおいて
笑みを浮かべながら、そう口にする。
[メイン2] ベジータ : 「……サイヤ人の王子、ベジータだ」
[メイン2]
ホンフー :
「───サイヤ人…………王子ですか
それはそれは高貴なお方で……このような形で謁見できるとは
私も運がいいですね───」
まるで区切るように間を置いた途端、その静寂をバネにするように。
[メイン2] ホンフー :
[メイン2]
ホンフー :
「凄まじい技術をお持ちのようで
けれど───
私は、あなたの技術を盗む事ができる秘術を持っています」
[メイン2]
ホンフー :
"絶"
[メイン2] ベジータ : 「何だ……?何かされたぞ?」
[メイン2]
ホンフー :
「いえ───まだ、何もしていませんよ」
すると、再び構えの体勢に入り。
[メイン2]
ホンフー :
「手合わせを願いたいですが、よろしいでしょうか?
"王子"様? うふふふ」
[メイン2] ベジータ : 「フン……はぐらかされるのも好かんな」
[メイン2] ベジータ : 「真実は戦いの中で見抜いてやる」
[メイン2]
ホンフー :
ベジータの、その面構えを見届けると
ホンフーは───"絶"であるにも関わらず地面に亀裂を入れる勢いで踏み込み
真正面……否、死角へと潜り込むッ!!!
[メイン2] ホンフー : さあ───存分に繰り出してきなさい。
[メイン2] ベジータ : 「中々に速いな」
[メイン2]
ホンフー :
脇腹に、"絶"であるにもかかわらず
大木すら裂く指先を───!!!
[メイン2]
ホンフー :
「───」
だがやはり、動きを"捉えられている"…………!!!
[メイン2] ベジータ : その一撃を添えた左腕で受ける
[メイン2] ベジータ : 「地球人としてはマシなレベルという話だがな!」
[メイン2]
ホンフー :
「───ほお、"宇宙人"とでも言いたいのですかっ!!!」
受けられた瞬間に拳を引き戻し、もう片腕を伸ばすと
ベジータの左腕にひっかけ、そのまま跳躍───
[メイン2] ホンフー : ベジータの顔面へと、鞭のようにしなる健脚を放とうと
[メイン2] ベジータ : 「フンッ、てめえで勝手に想像しろ」
[メイン2] ベジータ : その一撃を奥に逸れて躱し
[メイン2] ベジータ : 「Falcon kick!!」
[メイン2] ベジータ : 返しの一撃、脚を放つ
[メイン2]
ホンフー :
刹那、ホンフーは"絶"の状態で威力をなるべく最大限まで殺せる体勢へと入り
その一撃が
掠る。
[メイン2] ホンフー : 掠った程度で。
[メイン2] ホンフー : 大木へと、ホンフーは吹き飛んで張り付くように衝突した。
[メイン2] ホンフー : 「ぐはっっ……くっ……はぁっ……っ!!!」
[メイン2] ベジータ : 「普通の地球人とそう変わらん脆さだ……何かしたと思ったが……思い違いだったか……?」
[メイン2]
ホンフー :
「…………それはとんだ誤解を生んでしまいましたね……」
すると地面へと転がるホンフーが、すぐに立ち上がると同時
[メイン2]
ホンフー :
───禍々しいオーラを身に纏い
荒れ狂う山の如く、揺らめく。
[メイン2] ホンフー : 「今度は、そちらから来てみなさい」
[メイン2] ホンフー : 「ガッカリはさせませんよ」
[メイン2] ベジータ : 「いいだろう」
[メイン2]
ベジータ :
「はあああっ」
身体から気を放出し地面を踏み締める
[メイン2]
ホンフー :
「───迅っ……」
いや……タイミングさえ掴めれば
『完了』する。
[メイン2] ベジータ : 脚を踏み出すと共に低空を滑るように蹴りを繰り出す
[メイン2]
ホンフー :
───その一撃を
添えた左腕で受け、そして流す。
[メイン2] ホンフー : 『一つ』
[メイン2]
ホンフー :
だがその威力は絶大。硬で何とか受け流しても
痺れるような感覚が迸る。
[メイン2] ホンフー : だが、あと一つだ。
[メイン2]
ホンフー :
「うふふふ───"顔面"でもないと
こうやって流しちゃいますよ?」
[メイン2] ベジータ : 「流したか、オレの蹴りを」
[メイン2] ベジータ : 「格闘なら流せても、これならどうだ」
[メイン2] ホンフー : 「ッ……───ええ、なんでもどうぞ……」
[メイン2]
ホンフー :
まるで"顔面"を狙ってくださいと言わんばかりの体勢に、だが気取られないよう
ホンフーは大袈裟に"攻撃"あるいは"防御"の姿勢へと入り───
[メイン2] ベジータ : 手に青い球を作り出し
[メイン2] ベジータ : 「フンッ!」
[メイン2] ベジータ : それを、投げつける
[メイン2]
ホンフー :
───放出ッ
この威力はかつてG・Iで見た……『レイザー』の
だが、これは
[メイン2] ホンフー : それ以上───
[メイン2]
ホンフー :
その一撃を
───奥に逸れて躱す。
だが、そのエネルギーは絶大。
顔面に『硬』をし、オーラを集中させ。
[メイン2]
ホンフー :
その"熱"をシャットアウト───しきれずに
絶大な光によって片目の視力を一時的に失う。
[メイン2]
ホンフー :
「ッッッッ…………!!!!」
そのまま地面に勢いよく倒れる。
[メイン2] ベジータ : 「割と本気でやったが……死なないとは。その辺の地球人にこれを撃って死ななかったのは初めてだぜ。そもそもそんな状況はあまりないがな」
[メイン2]
ホンフー :
「…………ええ、"その辺の地球人"と一緒にされては困ります
と、いっても……この場所は"その辺"ばかりが集まる者でもないんですよ
うふふふ…………」
[メイン2]
ホンフー :
すると、その華奢な体躯であるはずのホンフーの片足に
───想像を絶するほどのオーラが集中し、まるでマグマのように煮えたぎる。
[メイン2] ベジータ : 「この気……何やら奇妙だな」
[メイン2] ホンフー : そして、刹那───
[メイン2]
ホンフー :
そのオーラは炎となりて
瞬きの一つすら許さず。
[メイン2] ホンフー : その健脚と共に、ベジータの眼前へ。
[メイン2] ホンフー :
[メイン2] ホンフー :
[メイン2]
ホンフー :
隼属の狩猟舞
「Falcon kick」
[メイン2]
ホンフー :
鞭のようにしなっていた健脚は、今
屈強な幻視を見せ、かつ確かに業火を纏い───ベジータを襲うッ!!!
[メイン2] ベジータ : 「何!?」
[メイン2] ベジータ : ガッとそれを受け止めて
[メイン2] ベジータ : 「オレのファルコンキックとそっくりだ…!」
[メイン2] ホンフー : 「おっと───"ベジータ"さん」
[メイン2] ホンフー : 「"おかわり"はいかがですか?」
[メイン2] ホンフー : 片足にオーラを移し。
[メイン2]
ホンフー :
受け止められていない方の片足にオーラから炎へと変化した推進力が働き
100%のオーラが、ベジータに襲い掛かるッ!!!!
[メイン2] ホンフー : ───どうだ……!!!
[メイン2] ベジータ : 一撃を受けて大きくのけぞり、地面を削りながら後退る
[メイン2]
ホンフー :
「…………フゥウウウウ……」
とうとう肺を傾けたように、ホンフーは息を吐きだし
その場で体勢を保ち続ける事ができずに、膝をつく。
[メイン2] ベジータ : 「フン……中々に手応えがあるな。第一試験の時ビック・バン・アタックで消し飛ばしたピエロ野郎以来だぜ」
[メイン2]
ホンフー :
「…………嬉しいですね……彼はいないと思ったら、あなたにやられていたのです
ねっ……」
そのまま倒れる。
[メイン2] ベジータ : 「む……」
[メイン2]
ホンフー :
「さすがにオーラの消費による疲労には……抗えませんね……
それに"ダメージ"も……楽しかったですよ。まあ私はここで終わるつもりは
ありませんがね……」
[メイン2] ベジータ : シュンッ
[メイン2] ベジータ : 素早く回り込んで、手に何かを持っている
[メイン2] ホンフー : 「…………?」
[メイン2]
ベジータ :
「これが無いと最終試験は突破できんらしいからな。一応貴様の分は貰っておいてやる」
プレートを手で踊らせて
[メイン2] ホンフー : 「ふっ……ええ、そうしておいてください」
[メイン2] ホンフー : 「でなければ、あなたに立ち向かった私の顔も立ちませんし、ね……」
[メイン2] ホンフー : 「うふふふ」
[メイン2] ベジータ : 「……フン。嫌いじゃないヤツだ」
[メイン2]
ホンフー :
「……そういってもらえて、光栄ですね
精進しますよ───」
そのまま、気絶。
いや、目を瞑る───彼が勝者。勝者の後は追わない。
私が次に目を開けたときにやるべきは……あの少女の成長を見る事だ。
[メイン2] ベジータ : 同じく、脚を踏み込んでそこから飛び去る
[メイン2]
ホンフー :
「…………これでプレートはゼロ……
彼女の目に堂々とこの姿で現れるのは、ドレスコードが成ってませんね」
飛び去った音だけを聞き届け、笑みを浮かべ。
[メイン2] ホンフー :
[メイン2]
ホンフー :
「そこら辺のを狩りますか
───余計なものはいらない」
[メイン2] ホンフー :
[メイン2]
バロン :
[メイン2]
バロン :
[メイン2] バロン : ……この世界はかつて、俺のものだった。
[メイン2]
バロン :
生まれた時、俺には何もなかった。”奪われていた”。
貧民の生まれ、誰かから奪うことでしか手元には何も残らない。
[メイン2] バロン : だから、世界を奪われた分だけ奪い返すのだと嘯いていた。
[メイン2]
バロン :
[メイン2] バロン : 長続きするわけが無いそんな生をしばらく送って──当然破滅した。
[メイン2] バロン : 買い続けた恨みが牙を向いて──当然死地に放り込まれた。
[メイン2]
バロン :
そう、奪った分だけ奪われる。
当然のことだと思って……
[メイン2]
バロン :
[メイン2] バロン : ズドォン!
[メイン2]
バロン :
[メイン2] バロン : 俺はその時、初めて”与えられた”。
[メイン2]
バロン :
銃声が響いて、取り囲んでいた追手が倒れて。
銃声の方を見て、そこに立っていたのは……
[メイン2]
バロン :
「……丁度、こんな奴だったな」
無鉄砲で危なっかしくて、どこか壊れたようでいて……
それでも確かに胸に抱えたものがある。
[メイン2] バロン : 少し減った塗り薬を片手に、らしくもなく物思いに耽っていた。
[メイン2] バロン : 「おっと、巻き込まれちゃ適わない」
[メイン2] バロン : 激戦を遠目にして、一発分軽くなったライフルを担ぎなおす。
[メイン2] バロン : 「やれやれ……残り一枚、落ちてれば楽なんだがな」
[メイン2] バロン : へらへらと、目下の”2枚分のプレート”から目を逸らし。
[メイン2] バロン : 黒衣の男は再び孤島の奥へと姿を消した。
[メイン2]
バロン :
[メイン2]
バロン :